BCI・脳の技術の会社は、どんな働く先に分かれるか

BCI(ブレイン・コンピューター・インターフェース)は、脳の信号を読んで機械を動かしたり、機械の情報を脳に返したりする技術です。国の資料や会社の発表では、同じ意味でブレインマシンインターフェース(BMI)とも書かれます。この記事は、その BCI と、脳の活動を測る技術(ブレインテック、ニューロテックとも呼ばれます)に取り組む日本の会社と研究機関を、「働く先」の目で整理しました。言葉の説明はBCIとはとブレインテックとはにまとめています。

国の研究プロジェクトの発表でも、呼び方は一つではありません。内閣府のムーンショット型研究開発事業の目標1の研究プロジェクト(プロジェクトマネージャーは金井良太氏、代表機関は国際電気通信基礎技術研究所=ATR)は、2022年10月14日の発表で、脳科学の知見とテクノロジーを融合した技術を「ブレイン・テック(ニューロテクノロジー)」と書き、その手引きとして「ブレイン・テック ガイドブック ver1.0」を公開したと伝えています(ATR・アラヤ・慶應義塾大学の発表)。会社を探すときは、BCI、BMI、ブレインテック、ニューロテック、脳科学のどの言葉でも検索してみてください。

ここに載せた会社・機関は、14社・機関です(会社8社、研究機関6機関)。2026年11月に、それぞれの公式サイトや採用ページ、公的機関の公募ページを開き、事業や研究の中身と、募集の出し方を確かめました。載っていない会社に取り組みが無いという意味ではありません。公式の資料で確かめられなかった会社は載せていません。会社の良し悪しの順位づけ、株や投資の話はしません。

この記事が目指すのは、次の3つに答えることです。

  • 脳の技術の仕事には、どんな型の働く先があるか
  • それぞれの会社・機関が、公式の資料でどんな事業・研究をしていると説明しているか
  • 募集はどこに出るか(採用ページ、研究機関の公募ページ)と、探すときに何を見るか

この記事で言う「掲載中の求人」

会社ごとの「掲載中」は、当サイトが各社・各機関の公式の採用ページ(公募ページ)から取り込んだ求人のうち、いま募集中のものを毎回数えた件数です。業界全体の求人の数ではありません。応募の前には、必ず公式の募集要項で締切と条件を確かめてください。

型別の地図|会社・機関の一覧表

この記事では、脳の技術の働く先を、脳に何をするかで6つの型に分けました。脳に電極を植え込んで信号を読む「植込み型 BCI」、体を傷つけずに脳波などを測る「非侵襲 BCI とリハビリ」、脳の活動を測る装置とサービスの「脳計測とニューロマーケティング」、脳に刺激を与えたり脳の血管を治療したりする「脳の医療機器」、AI と脳科学を組み合わせる「AI と脳科学」、そして大学・国の「研究機関」です。型が違うと、仕事の中身も、募集の出し方も変わります。

型会社・機関公式で確かめた事業・研究当サイトの掲載中採用の窓口
植込み型 BCI(体内に置く)JiMEDワイヤレス植込み型 BCI 医療機器。ALS 患者を対象とする企業治験の準備を進める(大阪大学発)3件公式の窓口
植込み型 BCI(体内に置く)大阪大学 医学系研究科脳神経外科学教室が、重症 ALS 患者を対象とする植込み型ブレインマシンインターフェースの治験に参画する医師を公募1件公式の窓口
非侵襲 BCI・リハビリLIFESCAPES脳卒中後の運動麻痺のリハビリに使う BMI 医療機器。2024年に医療機器認証を取得した製品を販売4件公式の窓口
非侵襲 BCI・リハビリMesotron手術のいらない非侵襲 BCI(高感度脳波計と脳解読 AI)を開発する、2026年創業のつくばのスタートアップ2件公式の窓口
脳計測・ニューロマーケティングNeU近赤外光(NIRS)の脳計測、ブレインフィットネス、ニューロマーケティング5件公式の窓口
脳計測・ニューロマーケティングXiberlinc脳波(EEG)の技術と脳科学の研究開発・社会実装。デジタル脳科学ラボからスピンオフ2件公式の窓口
脳の医療機器(大手の部門)日本メドトロニック脳深部刺激療法(DBS)などのニューロモデュレーションと、脳血管内治療の製品を扱う部門の営業(BCI ではない)2件公式の窓口
脳の医療機器(大手の部門)アボットメディカルジャパンニューロモデュレーション事業部で、脊髄刺激療法(SCS)と脳深部刺激療法(DBS)の営業(BCI ではない)1件公式の窓口
AI と脳科学アラヤAI とニューロテクノロジーの会社。内閣府ムーンショット事業で BMI を研究4件公式の窓口
研究機関東京大学 IRCN神経回路・精神疾患・AI を結ぶ基礎研究の国際研究拠点(東京大学・WPI)4件公式の窓口
研究機関理化学研究所 脳神経科学研究センター脳神経科学の基礎研究。研究チームごとに研究員・技術職・パートタイマーを公募16件公式の窓口
研究機関国立精神・神経医療研究センター精神・神経疾患の研究と医療。脳画像・神経研究の研究部が研究員を公募13件公式の窓口
研究機関NICT 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究センター(CiNet)。有期研究員・研究技術員・一般職を公募23件公式の窓口
研究機関東北大学 工学研究科 ロボティクス専攻脳の可塑性や運動学習の原理にもとづくロボティクス(ニューロロボティクス分野)1件公式の窓口

2026年11月5日時点でBCIジョブに掲載中の求人の集計(各社の公式の採用ページから取得)。業界全体の統計ではありません。

表の右の2列が、この記事のいちばんの目的です。当サイトに求人を載せている会社・機関は、掲載中の件数を求人データから毎回数えて出しています。「現在なし」は、公式の採用ページを確かめた時点で、条件に合う募集が見つからなかったという意味です。募集が無いと決めつけず、窓口を時々開いてみてください。

型ごとに、仕事の入り口の形も違います。公式の募集に出ていた職種の例を、型ごとに挙げます(募集は変わるので、現在の募集は各社の窓口と当サイトの求人一覧で確かめてください)。

型公式の募集に出ていた職種の例見るところ
植込み型 BCI薬事、事業開発、財務、植込み型 BMI の治験に参画する医師日本では治験の準備・実施の段階。医師の公募は期限付きの契約
非侵襲 BCI・リハビリソフトウェアエンジニア、薬事、臨床開発、BCI 実験のインターン医療機器は品質基準(QMS)や薬事の経験が条件になる
脳計測・ニューロマーケティングニューロマーケティングのコンサルタント、計測デバイスの営業、脳波の研究職研究職は論文・解析ツール(MATLAB など)の経験が条件に挙がる
脳の医療機器(大手の部門)脳深部刺激療法(DBS)などを扱う部門の営業会社全体の求人から脳の部門だけを見分ける
AI と脳科学脳波計測の実験スタッフ、研究員、プロジェクトマネージャーの補佐会社の求人の多くは AI 開発。脳の仕事は一部
研究機関研究員、研究技術員、研究補助、教員期限付き。締切は候補者が決まり次第のこともある

表は、公式の募集ページに書かれた職種と条件の記載を編集部がまとめたものです。給与や年収は会社・募集ごとに違うため、この表には載せていません。職種ごとの求人は、当サイトの脳波計測・実験技術、エンジニア・プロダクト開発、薬事・臨床開発・品質、研究員・研究開発の一覧で見られます。

植込み型 BCI の会社・機関

植込み型は、頭蓋骨の内側などに電極を置いて、脳の信号を読み取る方式です。手術が必要になるため、医療機器として治験を重ねる段階にあります。日本でこの型に取り組む会社として公式の資料で確かめられたのは JiMED で、治験に参画する医師を公募している大学の診療科として、大阪大学の医学系研究科を載せます。方式の違いはBCIとはの侵襲型・非侵襲型の節で説明しています。

JiMED(大阪府吹田市)|ワイヤレス植込み型 BCI

JiMED は、慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)の2026年6月19日の発表によると、2020年3月26日設立の大阪大学発のスタートアップで、事業内容は「ワイヤレス体内植込型 BCI の開発、製造、販売」、所在地は大阪府吹田市です。開発している製品は、頭蓋内に植え込んだ電極から取得した高精度な脳波データを AI で解析し、身体を動かさずに思考で外部機器を操作できるようにするワイヤレスの BCI(wiBCI)医療機器です。対象には、意識や感覚が保たれているのに意思の伝達や運動が難しくなる「閉じ込め状態」の患者さんが挙げられています(KII の発表)。

同じ発表によると、JiMED が医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ提出した治験計画届が受理され、2026年内の開始を予定する、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者を対象にした日本初の企業治験の準備を進めています。今回の資金調達は、他の出資者からの分も含めて総額3.3億円と書かれています。NEDO の起業家支援のページ(NEDO StarTips「株式会社JiMED」)には、ディープテック・スタートアップ支援事業の研究開発テーマ「ワイヤレス植込型 BMI システム医療機器の開発・事業化」で達成を目指す PoC として、ALS 患者を対象とした企業治験の実施、国内の適正使用指針の策定の開始、頭蓋内脳波のデータベース構築、北米拠点の設立と北米担当の設置が載っています(助成事業年度は2024〜2025年度)。治験の開始や承認は計画で、確定したものではありません。

採用は公式サイトの採用ページで出しています。当サイトの求人データ(採用ページから作成)に載る募集は、事業開発部長、CFO(財務戦略部長)、薬事部長のように、治験と事業化を進める管理職が中心です。求人データでは、薬事部長の募集は、PMDA との相談・協議を通じた薬事戦略の具体化、治験計画届や製造販売承認申請資料の統括を担う責任者と説明されています。当サイトに掲載中の求人は3件です(会社ページに公式の採用ページへのリンクつきで並べています)。

  • 薬事部長: 国内での企業治験の準備の中で、薬事戦略と治験計画届などの資料を統括する責任者です。
  • 事業開発部長: 北米などのグローバル事業戦略、海外の提携、海外の専門医との関係づくりを担当する仕事です。

JiMED の公式サイトは表示に JavaScript を使っているため、この記事の確認では本文を読めませんでした。会社の説明と治験の情報は、出資者の発表と NEDO のページで確かめています。募集の中身は当サイトの求人データによります。

大阪大学 大学院医学系研究科 脳神経外科学教室|植込み型 BMI の治験に参画する医師

大阪大学は、公式の教職員採用情報で、任期付の常勤職員(特任研究員など)の公募を職種ごとに載せています(特任研究員(常勤)等の公募一覧)。そのうち大学院医学系研究科の脳神経外科学教室は、応募期限を2026年11月30日とする公募で、重症 ALS 患者を対象とした「植込み型ブレインマシンインターフェースの治験」を実施すると書き、その治験に参画する医師を特任助教(常勤)または特任研究員(常勤)として1名公募しています(公募要項)。

当サイトが確かめた募集の内容は、治験での一般診療業務と、特任助教の場合は医学生・研修医の教育に加え、専門と経験に応じた治験の評価項目の実施、被験者の管理、治験分担医師としての参画です。採用日は2026年12月1日以降(相談に応じる)、契約は2027年11月30日までで更新の可能性があり、応募期限は2026年11月30日、候補者が決まり次第締め切ると公式に書かれています。応募できるのは医師で、一般の事務職や技術職の募集ではありません。当サイトに掲載中の求人は1件です(会社ページに公式の採用ページへのリンクつきで並べています)。

大学の公募は、会社の求人と違って、期限と締切のルールが公募ごとに違います。応募期限の日付、候補者決定での終了、契約期間と更新の可能性は、必ず要項で確かめてください。

脳の技術の求人をチェック

求人一覧を見る

非侵襲 BCI・リハビリの会社

非侵襲は、頭皮の上から脳波などを測る方式で、手術が要りません。リハビリの医療機器として販売されている例があり、福祉・産業などでの利用を目指す新しい会社も出ています。ここには、リハビリ向けの医療機器を販売している LIFESCAPES と、2026年に創業した Mesotron を載せます。

LIFESCAPES(東京)|脳卒中リハビリ用の BMI 医療機器

LIFESCAPES は、公式の会社概要によると2018年5月30日設立で、事業内容は「ブレイン・マシン・インターフェースを応用したリハビリテーション機器の開発・製造・販売など」です。会社は、慶應義塾大学理工学部の牛場潤一研究室で10年間にわたり培ってきた BMI 技術を土台にしていると説明し、創業者の牛場氏は取締役会長で、同大学の教授でもあります(LIFESCAPES About)。

製品の仕組みは、公式の Technology のページに書かれています。脳卒中で傷ついた脳の部位を迂回する神経活動を、頭皮上のウェアラブルセンサで検出し、同時に、麻痺した手指に付けた電動装具を動かして、脳と手指をつなぐ「代償回路」の活性化を促す、という説明です。公式は、適切なリハビリと組み合わせることで、BMI を外した状態でも自分の意思で手を開く動作ができるようになると「期待される」と書いています(LIFESCAPES Technology)。効果を保証するものではなく、機器ごとの効能は、医療機器としての認証の使用目的の範囲で読むものです。

時期出来事(LIFESCAPES の公式の発表)
2024年3月26日「LIFESCAPES 医療用 BMI(手指タイプ)」が医療機器認証を取得。クラスII管理医療機器で、使用目的は「手指等の筋力を維持、発達又は回復させるために用いる」(2024年4月16日の発表)
2024年6月1日「運動量増加機器加算」の区分で保険適用が開始(2024年6月27日の発表)
2025年12月12日開発中の「(仮称)LIFESCAPES 治療用 BMI」が、厚生労働大臣から「先駆的医療機器」の指定を受けた。厚生労働省の一覧では「(R7先駆機)第2号」(2025年12月16日の発表、厚生労働省の一覧)

表の3行目は、承認ではなく指定です。販売中の製品と、開発中の製品は別の物です。公式のソフトウェアエンジニア募集は、2024年に発売した最初の製品について、国内の回復期リハビリテーション病院約1500施設を最初の対象に普及を進め、2025年からは海外展開に向けた改良を進めていると書いています(ソフトウェアエンジニアの募集)。なお、2024年4月16日の発表には、これより前に販売された「機能訓練用 BMI(手指タイプ)」も載っています。採用ページには、ソフトウェアエンジニア、薬事スペシャリスト、臨床開発スペシャリスト、事業開発の長期インターンが載っています。当サイトに掲載中の求人は4件です(会社ページに公式の採用ページへのリンクつきで並べています)。

Mesotron(茨城県つくば市)|手術のいらない非侵襲 BCI のスタートアップ

Mesotron(メソトロン)は、公式サイトで「脳やからだの信号から一人一人の『望み』を推論し、人と AI、人と機械、人と人をつなぐインターフェースを開発しています」と自社を説明しています。会社概要によると、創業は2026年4月3日、本社はつくば市天久保で、事業内容は新奇高感度脳波計と高精度脳解読 AI の開発と、福祉・医療・研究・防衛・産業安全分野への装置・AI の提供です。研究開発の拠点として、自社オフィス、東北大学、筑波大学が挙がっています(Mesotron 公式サイト)。

公式は、BCI の中で「脳に電極を挿入して活動を計測することが必要」な現状の方式を素晴らしい技術としつつ、誰もが気軽に使えるものではないと書き、「ただ身につけるだけで使える」選択肢をつくることを最初の目標に挙げています。計画(マイルストーン)として、2026年7月に実験を開始、2026年7月〜2027年2月に日米の拠点で脳波10,000時間を蓄積、2027年3月に「無声発話」を体験できるデモを公開する、と書いています。これは会社の計画で、実現が確定したものではありません。

採用は公式の採用ページからHERPに案内しており、当サイトで確かめられた募集は、非侵襲 BCI の人対象実験・データ取得オペレーションの研究インターンと、実験現場から会社づくりに関わる創業期インターンです。どちらもつくば勤務で、時給制です。当サイトに掲載中の求人は2件です(会社ページに公式の採用ページへのリンクつきで並べています)。

脳計測・ニューロマーケティングの会社

脳の活動を測る装置とサービスの会社です。脳波(EEG)や、近赤外光で脳の血流の変化を見る方法(NIRS)などで脳の状態を測り、研究、健康づくり、商品開発や広告の評価に使います。機械を動かす BCI そのものではなくても、同じ「脳を測る」技術と人材でつながっています。ここには NeU と Xiberlinc を載せます。ニューロマーケティングの中身はニューロマーケティングとはで説明しています。

NeU(東京・神田)|脳計測デバイス・ブレインフィットネス・ニューロマーケティング

NeU は、公式のリクルートサイトで自社を「ブレイン・ヘルステックのリーディングカンパニー」と説明しています。東北大学の脳科学の知見と日立グループの技術をベースに、仕事や暮らしの中での脳活動を安全に測って見える化し、その解析技術や解析結果をもとにしたソリューションを企業や社会に提供する会社です。事業は3つあります。

  • 脳を見える化する NIRS のハードウェアとシステム。NIRS(光トポグラフィ技術)は、微弱な近赤外光で大脳皮質を測る技術で、脳波計測や磁気共鳴などに比べて日常に近い環境で測れる点が特徴と、公式は書いています。
  • 脳を鍛えるブレインフィットネス。日常で使える小型の脳活動センサーを使い、科学的根拠に基づく商品・サービスを提供するとしています。
  • 脳の動きをマーケティングに活かすニューロマーケティング・感性評価。アンケートやインタビューでは捉えきれない無意識の反応を、脳活動などの生体信号で分析し、商品開発や広告宣伝に役立てると説明しています。

採用情報はNeU リクルートサイトにまとまっています。公式は「経験のない方でもやる気さえあれば Welcome」と書き、ニューロマーケティングのコンサルタントの募集では「ポテンシャルを重視した採用」と明記しています。当サイトで確かめた募集には、ニューロマーケティング・コンサルタント、ブレインフィットネスの事業開発・コンサルティング営業、テクニカルプロダクトマネージャー、ブレインテックのコンサルタンティング営業、経営企画担当があります。給与は、ブレインフィットネスの募集要項では月給の表記です(募集要項(ブレインフィットネス))。当サイトに掲載中の求人は5件です(会社ページに公式の採用ページへのリンクつきで並べています)。

Xiberlinc(東京都墨田区)|デジタル脳科学ラボ発の脳波スタートアップ

Xiberlinc(ザイバーリンク)は、公式の About のページで、応用脳科学技術を社会での実用につなげるために、「デジタル脳科学ラボ」からスピンオフしたスタートアップだと説明しています。人が何かを期待するときの「先行的なワクワク感」を脳波で定量的に評価する技術から始まり、製品開発、メンタルヘルスの評価、社会福祉などの分野に活かすことを目指すという説明です。サイトの事業の区分には、基礎 R&D 事業、脳科学技術コンサルティング、デジタルブレインヘルス事業が並んでいます(Xiberlinc About)。

メンタルヘルスの分野については、EEG や fMRI といった非侵襲の脳計測を使うソリューションが日常的に使われる存在になると考えていると書き、すでに自社の特許技術を活用できる具体的なソリューションが見え始めていて、パートナー企業と規制やガイドライン、ベストプラクティスを守りながら社会実装を進めている、としています(Xiberlinc 公式サイト)。取り組みは始まったばかりと、公式自身が書いています。

公式の採用ページには、デジタル脳科学ラボの募集が載っています。当サイトで確かめられたのは、BCI と心理実験プログラムの構築に強い人を求める Cognitive Engineer と、脳波の解析を担う Cooperative Researcher の2件です。雇用形態は Cognitive Engineer が契約・パートタイム、Cooperative Researcher が契約で、給与は時給の幅で書かれていますが、通貨の記載がないため、当サイトは金額を載せていません。当サイトに掲載中の求人は2件です(会社ページに公式の採用ページへのリンクつきで並べています)。

AI と脳科学の会社

脳の信号を読む BCI は、信号を解読する AI の技術と切り離せません。AI の会社が脳科学に取り組む例として、ここではアラヤを載せます。会社の事業の大部分は AI の開発なので、脳や BCI に関わる仕事は、募集の一部だけです。

アラヤ(東京・秋葉原)|AI とニューロテクノロジー、ムーンショット事業の BMI

アラヤは、HERP に載せた募集の会社概要で、自社を「AIとニューロテクノロジー(脳科学)を融合させた研究開発・社会実装を行うテクノロジーカンパニー」と説明しています。意識科学・神経科学の基礎研究から LLM・生成 AI の産業実装までを一つの会社で手がけ、内閣府ムーンショット事業でのブレイン・マシン・インターフェース研究や、製造・インフラ・医療分野への AI ソリューション提供を行っている、という説明です(アラヤ 求人一覧(HERP))。公式サイトのメニューには、錆び・腐食検査、建設 DX、空調最適化 AI などの AI サービスと並んで、「脳研究支援」と「Neurotechnology Market Landscape Report」の項目もあります(アラヤ 採用情報)。

ムーンショット事業との関わりは、国の研究プロジェクトの発表で確かめられます。目標1の研究プロジェクトは、プロジェクトマネージャーを金井良太氏とし、代表機関を ATR としています(金井氏はアラヤの代表と、HERP の会社概要に書かれています)。2022年10月14日の発表で、一般の人が市販のブレイン・テック製品を正しく理解するための注意点や、事業者が研究開発を行うときの参考情報をまとめた「ブレイン・テック ガイドブック ver1.0」の公開を伝えました。ポリシーとして「Trusted BMI」の実現を掲げています(ATR・アラヤ・慶應義塾大学の発表)。

採用はHERPで公開しており、AI の仕事が多くを占めます。当サイトには、脳波計測・BMI・脳科学の仕事だと公式の文面で分かる募集だけを載せています。例は、非侵襲型スピーチ BMI(脳信号から言葉を読み取り、PC やスマートフォンへの入力や音声合成を支える技術)の研究を支える実験テクニカルスタッフ、ムーンショット事業の BMI 研究を支えるプロジェクトマネージャー補佐、脳波を含む信号の統合解析を扱う研究員です。ほかにも脳波を使うプロダクトを手がける部署の募集がありますが、仕事の中心が AI 開発のため載せていません。当サイトに掲載中の求人は4件です(会社ページに公式の採用ページへのリンクつきで並べています)。

研究機関|大学・国の研究所の公募

脳の技術の基礎は、大学と国の研究機関が担っています。研究機関の採用は、会社の求人と形が違います。公募番号や公募件名がつき、任期のある研究員や研究技術員、研究補助を、公募ごとに期限を決めて募集するのが一般的です。締切が「候補者決定次第」と書かれている公募もあるので、気になる公募は早めに要項を読んでください。ここには、当サイトが公式の公募ページを開いて確かめた6機関のうち、大阪大学(前の節)を除く5機関を載せます。

東京大学 ニューロインテリジェンス国際研究機構(IRCN)

IRCN は、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の拠点として東京大学国際高等研究所に置かれた研究機構で、機構長のあいさつによると2017年10月10日に設立されました。神経回路発達の基本原理と、その障害が引き起こす精神疾患の病態解明を通じて、神経の動作原理に基づく革新的な人工知能(AI)の開発を目指し、「人の知性はどのようにして生じるか?」という問いに迫る、と説明しています(IRCN 機構長から)。公式サイトには、2027年1月15日の「IRCN ニューロテックフォーラム」の案内も載っています(IRCN 公式サイト)。

採用は公募情報のページにまとまり、研究者の公募のほか、秘書や総務、広報など研究を支える職員の公募も並びます。当サイトは、脳・神経の研究内容が公募要項に書かれた研究職を載せています。公募は期限付きで、期限を過ぎると掲載を自動で終えます。当サイトに掲載中の求人は4件です(会社ページに公式の採用ページへのリンクつきで並べています)。

理化学研究所 脳神経科学研究センター(理研 CBS)

理化学研究所の脳神経科学研究センターは、脳の仕組みを調べる研究チームやユニットを持つ研究センターです。公式の採用情報のページは、現在募集中の採用を、管理職・研究員・技術職・事務職に分けて、公募番号つきで一覧にしています。個別の公募は理研の採用情報(例: 数理脳科学研究チームの研究員または特別研究員募集)のページに載ります。

一覧にはチームの名前が並びます。数理脳科学研究チーム、神経回路計算研究ユニット、脳画像解析開発ユニット、認知睡眠学 理研白眉研究チーム、脳-身体連関 理研 ECL 研究チーム(2026年12月1日設置予定と書かれています)などです。2026年9月16日の日付で、2027年度の大学院生リサーチ・アソシエイト(JRA)の募集のお知らせも載っています。職種は、研究員・特別研究員、テクニカルスタッフ、研究補助のパートタイマーなどです。事務だけの仕事(事務パートタイマー)は、当サイトには載せていません。当サイトに掲載中の求人は16件です(会社ページに公式の採用ページへのリンクつきで並べています)。

国立精神・神経医療研究センター(NCNP、東京都小平市)

NCNP は、精神疾患・神経疾患の研究と医療を行う国立研究開発法人です。公式の採用情報のページには、精神保健研究所、神経研究所、トランスレーショナル・メディカルセンター、メディカル・ゲノムセンター、脳病態統合イメージングセンター(IBIC)、認知行動療法センター、病院などの部門が並び、研究所や病院の公募が日付とともに並びます。

公募は研究員や研究補助員のほか、病院の職員や事務の仕事も含みます。当サイトには、仕事の内容に脳・神経・脳画像・脳機能の研究だと公式の文面で書かれたものだけを載せています。例は、IBIC の先進脳画像研究部の研究員で、大脳・脳幹・脊髄の fMRI と臨床神経生理学の手法を使い、ヒトの運動・感覚制御の神経基盤を調べる仕事です。非常勤職員の募集では、提出締切が「随時」で、適任者が決まり次第終了すると書かれたものがあります。当サイトに掲載中の求人は13件です(会社ページに公式の採用ページへのリンクつきで並べています)。

情報通信研究機構(NICT)脳情報通信融合研究センター(CiNet)

NICT は情報通信分野の国立研究開発法人で、未来 ICT 研究所の脳情報通信融合研究センター(CiNet)が大阪府吹田市にあります(CiNet 公式サイト)。有期雇用職員の公募は、公募番号をつけて研究員・研究技術員・一般職を募集する形です。公式の有期雇用職員公募のページによると、採用予定日は令和9年(2027年)4月1日以降で、令和9年4月1日採用分の応募締切は令和8年(2026年)11月30日(月)16時必着、応募期間中でも適任者が決まれば募集を終了することがある、と書かれています。週37時間30分勤務の有期研究員・研究技術員にはフレックスタイム制が適用される、とも書かれています。

公募は、有期研究員の公募一覧などに分かれて載ります。勤務地は公募ごとに違い、CiNet のある吹田市のほか、神戸市の未来 ICT 研究所の募集もあります。当サイトには、公式の公募要項を1件ずつ読んで、脳の計測・脳機能・ブレインマシンインタフェースに関わると分かる募集を載せています。事務だけの仕事は載せていません。当サイトに掲載中の求人は23件です(会社ページに公式の採用ページへのリンクつきで並べています)。

東北大学 大学院工学研究科 ロボティクス専攻 ニューロロボティクス分野

東北大学大学院工学研究科のロボティクス専攻 ロボットシステム講座 ニューロロボティクス分野は、公式の公募要項で、脳の可塑性や運動学習の原理を基盤に、深層学習・強化学習・身体性 AI を融合した生体模倣知能ロボットシステムの創生を目指すと説明しています。内閣府ムーンショット型研究開発事業で、農業ヒューマノイドの開発も行っていると書いています。

機械系の公式の採用情報に、この分野の助教の公募が載っています。公募要項によると、神経回路を模倣したモデル、適応的な運動制御、知覚・力覚・運動の統合学習、脳型コンピューティングなどの研究を進め、学部と大学院での教育・研究指導も担う職で、応募資格は博士の学位(取得見込みも可)、任期は5年(再任は1回まで)、応募期限は2026年11月13日です。BCI そのものではなく、脳の仕組みをロボットに活かす研究の入り口として載せています。給与は公募要項に書かれていません。当サイトに掲載中の求人は1件です(会社ページに公式の採用ページへのリンクつきで並べています)。

大手の中の脳の部門|日本メドトロニック・アボットメディカルジャパン

世界的な医療機器メーカーにも、脳に関わる事業部門があります。ここで載せる2社の脳の部門は、BCI のように脳の信号を読んで機械を動かす技術ではなく、電気刺激や薬剤で神経の働きを調整する「ニューロモデュレーション」や、脳の血管の治療に使う製品です。脳の信号を読む側の BCI とは別の技術ですが、この記事では脳に関わる医療機器の仕事として載せています(読む技術と、脳に働きかける技術の違いはBCIとはで説明しています)。

大手の採用は、会社全体で心臓、糖尿病、診断薬、脊椎など多数の事業部門の求人が並びます。脳に関わる仕事を探すときは、会社の求人の中から、部門の名前(ニューロモデュレーション、ニューロバスキュラー)で絞って読むことになります。当サイトは、公式の採用システム(Workday)を開き、脳の医療機器の仕事だと公式の文面で分かる募集だけを載せています。

日本メドトロニック|ニューロモデュレーション・ニューロバスキュラーの営業

Medtronic は、公式の募集ページで自社を医療テクノロジーの世界的なリーダー(global leader in healthcare technology)と説明しています。日本では、日本メドトロニック株式会社、メドトロニックソファモアダネック株式会社、コヴィディエンジャパン株式会社がメドトロニック日本法人として紹介され(メドトロニック日本法人について)、採用は公式の採用システム(Medtronic Careers)で公開しています。当サイトは、2026年11月5日にこの採用システムで日本の求人を開いて確かめ、脳の医療機器の仕事だと分かる2件だけを載せています。心臓・脊椎・耳鼻科などの求人は載せていません。

1件は、ニューロモデュレーション部門の営業職(大阪)です。部門は、微弱な電気刺激や薬剤で神経の働きを調整する製品として、パーキンソン病や本態性振戦の症状を和らげるとする脳深部刺激療法(DBS)、脊髄刺激療法(SCS)、バクロフェン髄注療法(ITB)、仙骨神経刺激療法(SNM)などの製品を扱うと、公式の募集(R77939)に書かれています。担当地域の医療従事者や代理店への営業、デモンストレーションや手技サポート、販売戦略の策定、研究会やセミナーの実施が仕事です。もう1件は、ニューロバスキュラー部門の営業職(大阪)で、脳梗塞やくも膜下出血などの脳卒中の治療に使う、脳血管内に挿入する塞栓コイル、血栓除去用デバイス、カテーテルなどを扱うと書かれています。当サイトに掲載中の求人は2件です(会社ページに公式の採用ページへのリンクつきで並べています)。

アボットメディカルジャパン|ニューロモデュレーション事業部の営業

アボットメディカルジャパン合同会社は、公式の会社概要によると2011年設立の会社で、会社概要のページには、アボットジャパン合同会社、アボットメディカルジャパン合同会社、アボット ダイアグノスティクス メディカル株式会社など、事業ごとの法人が並びます(アボット 会社概要)。公式のニューロモデュレーション事業のページは、運動障害と慢性疼痛の治療のためのソリューションを提供していると説明しています。運動障害については、パーキンソン病や本態性振戦などの疾患を対象に、症状の管理により患者さんの自立をサポートする、と書いています(アボット ニューロモデュレーション事業)。

採用は公式の採用システム(Abbott Careers)で公開しています。当サイトは、2026年11月5日に日本の求人を開いて確かめ、ニューロモデュレーション事業部の2件だけを載せています。中四国・九州・沖縄エリアのアカウントマネージャーと、中部エリア(東海・北陸)のアカウントマネージャーで、どちらも脊髄刺激療法(SCS)と脳深部刺激療法(DBS)のビジネスの市場開発と売上成長を担う営業職です。給与は公表されていません。診断薬・糖尿病・心臓などの求人は載せていません。当サイトに掲載中の求人は1件です(会社ページに公式の採用ページへのリンクつきで並べています)。

営業職は、医療従事者への製品の説明や手技のサポートを担います。応募に必要な資格や経験は、募集ごとの要項で確かめてください。

海外の BCI 企業|Neuralink・Synchron など

BCI は、米国を中心に海外の会社が注目を集めています。Neuralink、Synchron などの技術と治験の段階、日本の会社との比べ方は、ニューラリンクとはにまとめました。この記事の一覧には、日本で働く先を探す読者に向けて、日本の求人を確かめられた会社・機関だけを載せているため、海外の会社は載せていません。

海外の会社の採用も、公式の採用ページで確かめられます。たとえば Synchron の採用ページは、人の主体性(human agency)を取り戻し守る BCI を作ることを目的に掲げ、そのためには工学・科学・医療・運営の人材が必要だと書いています。当サイトが取り込んでいる範囲では、これら海外の会社の日本の求人は無く、この記事を開いた時点で、採用ページの本文に日本の勤務地は見当たりませんでした(求人の一覧は別の仕組みで表示される場合があり、確かめ切れていません)。Neuralink の採用ページは、この記事の確認では本文を取得できませんでした。海外の採用は、英語の募集要項で勤務地と条件を確かめる必要があります。

日本から海外の会社で働くことを考えるときも、前の節までの会社・機関の仕事は参考になります。たとえば、薬事、臨床開発、品質、ソフトウェア、データ解析、脳波の計測といった職種は、植込み型でも非侵襲でも、BCI の会社に共通して必要な仕事です。

会社・機関の探し方|公式の採用ページと研究機関の公募

この記事の会社・機関の募集は、主に次の窓口に出ています。

窓口使い方この記事の対象
会社の公式の採用ページ最新の募集と条件は、ここが正本。募集が無い時期もあるので、定期的に開くJiMED、LIFESCAPES、Mesotron、NeU、Xiberlinc、アラヤ
採用システム(Workday・HERP)会社全体の求人が並ぶので、部門名や職種名で絞って読む日本メドトロニック、アボットメディカルジャパン、アラヤ、Mesotron
研究機関・大学の公募ページ公募番号・応募期限・契約期間を要項で確かめる。締切が候補者決定次第の公募もあるIRCN、理研 CBS、NCNP、NICT、大阪大学、東北大学
研究人材のポータル研究職の公募を横断して探せるサイト。JREC-IN Portalは、自らを「イノベーション創出を担う研究人材のためのキャリア支援ポータルサイト」と説明している研究機関・大学の公募全般
当サイトの求人一覧公式の採用ページから取り込んだ求人を、職種・勤務地で絞るこの記事の全14社・機関

求人を読むときは、次の点を要項で確かめてください。

  • 雇用の形: 正社員、契約、パートタイム、インターンのどれか。大学や研究機関の公募は、任期つきのことが多い(例: 大阪大学の医師の公募は2027年11月30日までの契約、東北大学の助教は任期5年)。
  • 締切: 日付の指定か、候補者決定次第か。NICT の令和9年4月1日採用分のように、日付と時刻(16時必着)が決まっている公募もあります。
  • 求める経験: 脳波や MRI の経験を条件にする研究職がある一方、薬事、臨床開発、ソフトウェア、営業、事業開発は、それぞれの分野の経験が条件に挙がります。脳科学の専門知識が必須とは限りません。
  • 勤務地: 同じ機関でも公募ごとに勤務地が違うことがあります(NICT は吹田市と神戸市)。
  • 給与: 募集により公表の有無や書き方が違います。時給、月給、年俸のどれかを確かめ、表記が不明な場合は、会社に問い合わせてください。

仕事の種類から探したい方は、BCI・脳科学の仕事と就職先をご覧ください。BCI 以外の脳の技術に興味がある方は、ニューロマーケティングとはも参考になります。

出典

すべて2026年11月5日に開いて確かめました(一部は2026年11月3日に確認した会社・機関の説明を使っています)。数字は各社・各機関が公表したもので、当サイトが測定したものではありません。将来の予定は計画で、確定したものではありません。

確かめられなかったこと: JiMED の公式サイトは表示に JavaScript を使うため本文を読めず、治験と資金調達は出資者の発表と NEDO のページで確かめました。JiMED の採用ページも同じ理由で読めず、募集の中身は当サイトの求人データによります。日本メドトロニックとアボットメディカルジャパンの募集の本文は、採用システム(Workday)の募集データで確かめました(採用ページそのものは表示に JavaScript を使います)。Neuralink の採用ページは、本文を取得できませんでした。Synchron の採用ページで日本の勤務地が見当たらなかったことは、求人一覧が別の仕組みで描画される可能性があり、日本の求人が無いことの確認ではありません。LIFESCAPES の公式発表は、本社所在地の書き方が発表の日付により違う(港区、目黒区)ため、この記事は所在地を「東京」とだけ書いています。各社の採用の件数は日々変わるため、本文には直書きしていません。